no.478

七色を不規則に反射するもの
さわると透明になる立方体
鍵をかけて鍵を捨てる
あとは眺めるだけのものだから

壊せば天まで匂います
張り裂けないよう祈るのです
新しい時代のために閉じ込めた
捨てることができず閉じ込めた

ぼくの失恋
ぼくの自殺
ぼくの初恋
ぼくの誕生

きみの挫折
きみの葛藤
きみの残酷
きみの贖罪

あの朝はいつもよりインクが香った
新聞受けの中で平等に待たされた
誰にも言えないと思った
分かる人には分かると思った

安い鶏肉では妄想が募るばかりだった
きみは知りながらぼくを止めなかった
夜は星座ばかりかわいがって
逃亡者にすこしも優しくなかった