no.475

ルートを辿ろうとした
ぼくは生きてきたんだろうか
それとも産まれてもいないのか
であれば死ぬこともないのだろうか

どこまで行っても無垢のまま
繰り返されるばかりだからだ
遡っても判らないのは
子どもが子どもを追いかけるから

まあるい喉仏が伝えるには
人間は敵ではない
味方ではないのと等しく
ぼくたちは接触をしないので

割れそうな静寂
ひたひたと沁みてくる
雨水が新しい命ならいいのに
千切れてもぼくは透明であればいいのに

言ってもいいんだ
虹も星も美しくないと
きみが本当に自由の身であって
そう感じているのなら

何が欲しくて
何を嘘にする?
何が要らなくて
何を本当にしたい?

森がふたりを受け容れたのは
追っ手から逃がすためではないよ
ぼくらがいずれ力尽きて
次の生き物につながるからだ