no.472

ぼくが先に問いかけて
跡形もなく消してしまおう
最初に出された解を
きみに自分を愛せないなら

時代が変わる病室の待合室で
みんながアイドルの死を悼む
好きでも嫌いでもないのに
いったい誰と重ねるんだろう

刺して初めて柔らかだと分かる
知るということはそういうこと
知り合うとなるともっと非道だ
取り返しがつかなくもなるだろう

手の甲に魔法をかけて
ひとつずつ皺を見せてもらう
次に手のひらを返して
今度は一桁の年齢に戻してもらう

きみが傷をさらけ出すのは
自分のためじゃないんだってね
そこまでは分かったつもりでいた
そもそも傷でもなかったよね

名前と物語に妥協する
手っ取り早く共感するため
誰が許さないでもないのに
拙いままで誰もが幸せになれたのに