no.467

近づいて欲しくない
所有してくれないのなら
たまに心臓を抉るくらいで
説明もしてくれないのなら

今ならわかるよ
音楽も小説も誰かの正当化だった
どんな薬もぼくには効かない
そもそも病名が無いのだから

愛する人が自分自身を貶めるんだ
ぼくは何度も否定するんだ
そのたびに失敗するんだ
決定的な言葉を口にしないせいで

守るより傷つけるほうが容易くていいや
何故って自分も傷つくから
同じ感じ方をできるものには鈍感だ
結果として予防線はばっちりだ

どうしようもない
ふたりで逃げたって
たしかに少しは前に進むのかもな
だけどすぐに捕まるのだろ?

ステンドグラスが光を落とす
握ったことのないか細い手に
冒険を望めない体に
それはなんて静謐なんだろう

名前をつけたくなるんだ
人はきっとこういうときに
記憶に残りたい、残したい
もがくほど上手くいかない

居心地の悪さを通り越して
いっそ癖になってしまうな
悪いゲームのようで
目を離せなくなる

審判ごっこはやめよう
ホールドアップで臨戦態勢
目を逸らしたほうが次の鬼だ
必ずぼくを捕まえてくれ