no.463

壊れたら戻らない
それくらい知らないわけじゃない
本当のところなんて、
嘘をつかないだけでは不十分だ

澄み切った青紫のゼリーを
スプーンが舌に運ぶ
あなたは美しい横顔をして
誰よりもひどくぼくを糾弾する

良くないよ、
なんにも思い出さないことは、
そうやって正気を、
保つのかもしれないけど?

(思い出さないのではない、
思い出せないんだ、
いくらなじられても、
いや、違いなんて、曖昧、か)

あの花が押し出したような
ちいさな涙をこぼすので
ぼくはとんでもない悪人で
あなたはただ純粋な狂気である

追及と忘却はどこまでも平行線
あれが秘密の毒ならいいのに
ぼくの子どもじみた幻想が
音楽となって空白を満たしていく

経験したこともない沈黙のあと
スプーンが次の禁忌をすくって
甘い声でぼくに差し出す
さあ心ゆくまで召し上がれ

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