ミモザが揺れていた
きみの髪でワンピースで
一足先に三角関係を抜けてった
ぼくたちの優しい幼なじみのように
約束はかんたんだったね
守らなくてもいいのなら
ちいさな嘘が少しずつ増えたね
じゃあ約束なんかしなければいいのに
戻れるかのように振る舞う
いつだって取り戻せるかのように
周囲がみんな子どもであるように
そして誰よりも幼く笑うんだ
きみも気づかないきみのことを
ぼくだけが知っている世界ならいいのに
奪われたり盗まれたりのない世界
鮮やかさを失ってもまだそれだけはある
いいかい、ぼくは弱いんだ
自覚のあるだけタチが悪いんだ
だけど気持ちが追いつかない恋もある
この夏もあいつの幻に出し抜かれる
(終わるといいのに)
汚れたりせずにまとめて
せーので終わればもう誰も泣かないのに
淡々とつぶやくぼくのかたわらで
ずいんぶん生き急ぐねときみが笑う
ずっと終わってるじゃないか
何かがさりげなく始まるたびに
終わらないものなんてないじゃないか
だったらもう、べつのことを願えよ
見え透いたいいわけに使ったミモザ
ひとつずつあの夜の森の蛍に変わる
誰が誰を思う気持ちもとめてはならない
ぼくたちは許しなんか求めてはならない