no.458

ミモザが揺れていた
きみの髪でワンピースで
一足先に三角関係を抜けてった
ぼくたちの優しい幼なじみのように

約束はかんたんだったね
守らなくてもいいのなら
ちいさな嘘が少しずつ増えたね
じゃあ約束なんかしなければいいのに

戻れるかのように振る舞う
いつだって取り戻せるかのように
周囲がみんな子どもであるように
そして誰よりも幼く笑うんだ

きみも気づかないきみのことを
ぼくだけが知っている世界ならいいのに
奪われたり盗まれたりのない世界
鮮やかさを失ってもまだそれだけはある

いいかい、ぼくは弱いんだ
自覚のあるだけタチが悪いんだ
だけど気持ちが追いつかない恋もある
この夏もあいつの幻に出し抜かれる

(終わるといいのに)

汚れたりせずにまとめて
せーので終わればもう誰も泣かないのに
淡々とつぶやくぼくのかたわらで
ずいんぶん生き急ぐねときみが笑う

ずっと終わってるじゃないか
何かがさりげなく始まるたびに
終わらないものなんてないじゃないか
だったらもう、べつのことを願えよ

見え透いたいいわけに使ったミモザ
ひとつずつあの夜の森の蛍に変わる
誰が誰を思う気持ちもとめてはならない
ぼくたちは許しなんか求めてはならない