ぼくの夜をなぞるのは誰
南に降る星のような爪の持ち主
なんの印も持たないことを笑って
今からでも遅くないと唆かすのは
嫌いなものを教えてください
歪むところが好きなので
割れない静寂などないと分かる
あなたも生きているんだと分かる
ぼくの理解は期待より遅いかも知れない
少し物足りなくて新しいかも知れない
あなたの目でぼくを見ることができたなら
ただの好きではやや弱くて怖いけれど
きっと傷になりたいのだ
時間とともに薄れていくのなら
優しいだけでは忘れられるなら
たまには裏切って悲しませたい
ひとつずつ聞いて欲しいんだ
ぼくに住むちいさな魔物の声を
朝が来るとたちまち姿を消してしまう
誰よりもあなたを知りたいと思う
こいつはたまにひとりで泣くんだ
平気じゃないことを悟られたくなくて
こいつはたまにひとりで怒るんだ
ちっとも幸せでなんかないやって
包まれるように温かいはずでは?
(あの人の台詞とだいぶ違う)
何もかもが輝いて見えるはずでは?
(あの人の約束はてんであてにならない)
行間から解き放たれてあなたは
産まれたての目でぼくを見る
匿ってもらえないぼくは脆くて
ずるくなる以外の方法を持たなかった