no.456

きみに降る雨
夜を薄く溶かしておいたんだ
もしも痛みがないとしたら
何をいちばんよくするだろう

じゃまをされたくない
誰であっても
どんなものであっても
もう純粋でなくても

百年後に泣くのかもしれない
傷のひとつやふたつ
もらっておくのだった
さいしょの恋であるなら

団地が虹をかくす
だけどぼくはいう
きれいだ、と
見えなくすることはできないから

聴覚は従順だよ
本物をまちがえない
どうしてひとが迷うのか
不思議そうに七色は踊っている

きみは持っている
まぶたの裏にきみだけのスクリーン
ぼくは持っている
きみを少しだけ悲しませることのできる
ねずみ色したちいさな雲を