no.455

夜をかじると八朔のかおりがした
朝になって贓物に変わるんだろう
それでもほおばっていいと思えた
二番目の恋でひどくされたかった

月をかじると青が体に溶けてきた
大人と子どもを微分して回答した
春と夏のあいだに奈落があったよ
行き先は手首に刻んでても消えた

命をかじると病みつきだったろう
目も舌もほしかったし骨もほしい
ぼくでもいい土にくれてやるなら
だから命にだけは歯を立てないの