no.453

おれが多くを見捨てるのは
それらを無残に噛み殺さないためであった
しばらく手元に置いておけば
いつか粗が目について
耐えられなくなって
愛着で太刀打ちできなくなって
粉々にしてしまうだろうから
いきものを大切にしないのは
生まれつきでどうしようもない
今日、
おれはお前にもさよならを言う
お前がおれを忘れる日にも
お前のためにおいのりをすると誓う
今はまだ信じたくないかも知れないが
正味、
おれは優しくないしためにもならない
いずれ分かるだろう
分かりたくないと思っているうちは
分かることはないだろうが
今までおれが捨てたものたちが
おれを忘れてしまっていることを願う
自分はいつか化け物に育てられたと
今がとてもあたたかくて心地が良いと
まあ、
夕暮れ時までは立ち入れないので
お前たちは少しだけ泣くかも知れないが
自分でもなぜ涙が出るのか
説明などできないままに