no.448

ひとつの時代が終わるころ
ぼくたちは未成年だった
新しい元号が控えて
世界は勝手にあわただしかった

忘れ去られるのはかんたん
自分をうんと愛するか
その逆を徹すればいい
他人を傷つけても平気でいていい

出窓に天使がやってきて
いけすかないな
と、言うんだ
たしかに、そう、言ったんだ

青のような赤のような目は
ときどき色を変えながら
ぼくの記憶にあるすべての
これまで会った人々の顔つきで

お腹を切っても生めない
弛緩せず、埋められない
森に隠した種のよう
わかるひとにはわかってしまう

無責任だよ
何も奪わないなんて
成就しないまま
最後の夏がまた始まる

会いたい
会えない
会ってはいけない
愛するよりほかにないから

朝顔のひとつひとつ
夜霧のひとつぶひとつぶに
ぼくの悔恨が宿ってひかる
繰り返しではなく蘇生なのだ

そのたびに殺りくなんだ
破滅し呪詛を撒き散らす
無秩序に白い花を並べられて
泣きながら産まれたんだ