no.443

きらきらできなくて、ごめんね。

モデルの男の子が言う。きみの好きなキャンディの包みみたいに。って。きれいだ、そう、言われるたびに傷ついていたんだ。はやくはやくって呼ばれている気がして。蜂蜜がかかった午後に、食べそこねたパンケーキのクッションで、途方もなく時間のかかる殺りくを始める。何年かかってもいい。ほっぺたに楓の茎みたいな引っかき傷をいくつもつくる。上手な笑顔なんてきみらしくないから、あす、早朝、剥がしにいこう。それからふたりでコーヒーを。誰のものでもない朝を。誰のものにもならない約束を。

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