no.427

真夜中に走る車の中で目をさましたい。ゴールなんてさがさないでいたい。ある時ふときづきたい。ああ、ぼく、あいされたかったんだ。まんまるい月は食べ損ねたうさぎの瞳みたいだった。怖くないよって誰も保証してくれない。みんなそれぞれを険しい顔つきで生きている。笑って。犯人、を、知っている、ほんとです。だけどそれはぼくの大切な人なので、秘密を暴きたいというあなたがたのわがままには付き合わないんです。まばたきのたびに波が遠くなる。海にかかった長い橋。すれ違う車はない。すこしでも休んだらべつの命になっちゃいそうだな。下にはたくさんの生き物が泳いでいるのだから。夢みたい。そうだね。死んじゃったみたい。そうだね。ぼくたち何かから追いかけられているようにいつまでも走るね。そんな妄想、風に吹かれて飛んでいって。どこにも行き着かない旅を。すべてがふたりを拒むだけの優しい夜を。

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