シルクのリボンがほどけた日、きみと暮らせばどうだろうかと考えた。きみは新しい紐を用意するだろうか。それともそのまま自由にしておくのかな。
ぼくは、いまのぼくが好きだよ、この顔でじゅうぶんだった。怪我をしてよかったことは、打ち明けてくれる人の多いこと。人は、本能的に知っている。ほんとうの秘密は、自分よりかわいそうな人にしか、話せないって。
ミッドナイトにさよならって言う。大切にしたもの、変色しないから好きだった。ラミネートして、偽物だから、壊れることも平気だよ。
ぼくの中にきみの秘密が蓄積していく、夜、誰もいないコインランドリー、呼べない星座、汚れないきみ。
かわいいとかわいそうは似てるね。
とても、似てる。誰とも暮らせないぼくたちは少しだけ未来を夢に見て、またねって別れたんだ。ぼくはきみを哀れんでしまう。きみがぼくに優しくするたんびに。見え透いた試算、幼稚な嘘、きみでなければ暴く、こと、すみれ色したノートに正解を出すよりもかんたんだったのに。