いまは果物をあつめるとき
きみは深く傷つくだろう
生きたいと強く思い
それをたしかに実行したときに
甘くてあかい
あおくて硬い
すっぱいのや
からいのや
いつ役に立つかわからない
そんなものでも
いまはたくさんあつめるとき
数えることは必要ではない
誰かがやってきて言うんだ
それをください
またある人は黙って取っていく
きみはまだ人を信じられる
まっすぐに
なんて願うものじゃない
一度願ってしまえばあとはもう
しつこくて寂しい検証だから
好きなほうへ
明るいほうへ
信じられるほうへ
きみを呼ぶ声のするほうへ
きみが笑っていなくても
それはそれでいいんだ
少しわがままを言うと
本当はいやなんだよ
光がまぶしければ逃げていい
その方角にはまだ誰も
いないかもしれない
でも待っている人はいるかもしれない
誰かが来てくれないかな
そうしたらぼくも行くのに
そうしたらわたしも行くのに
そんな場所があったらいいな
劇場よりあざやかで
洋裁箱よりにぎやか
なぜってきみの命だ
いまは果物をあつめるとき