no.413

いまは果物をあつめるとき
きみは深く傷つくだろう
生きたいと強く思い
それをたしかに実行したときに

甘くてあかい
あおくて硬い
すっぱいのや
からいのや

いつ役に立つかわからない
そんなものでも
いまはたくさんあつめるとき
数えることは必要ではない

誰かがやってきて言うんだ
それをください
またある人は黙って取っていく
きみはまだ人を信じられる

まっすぐに
なんて願うものじゃない
一度願ってしまえばあとはもう
しつこくて寂しい検証だから

好きなほうへ
明るいほうへ
信じられるほうへ
きみを呼ぶ声のするほうへ

きみが笑っていなくても
それはそれでいいんだ
少しわがままを言うと
本当はいやなんだよ

光がまぶしければ逃げていい
その方角にはまだ誰も
いないかもしれない
でも待っている人はいるかもしれない

誰かが来てくれないかな
そうしたらぼくも行くのに
そうしたらわたしも行くのに
そんな場所があったらいいな

劇場よりあざやかで
洋裁箱よりにぎやか
なぜってきみの命だ
いまは果物をあつめるとき