no.48

覚えられないことばかりだ。花の名前、ものの数え方、人物相関図、マシーンの操作、新しいルール、陳腐な言葉、各国の首都、国旗。なるほど確かに約束はしなかった、約束はしなかったな。変わっていくことも、変わらないままいることも。だから僕がここで腹を立てるのはおかしいことだとわかっている。折って作られた神は無慈悲に愛し尽くした。地上にはびこるすべて、僕以外を。従って僕は呪わざるを得ない。本当は守りたかったものを。こっちが先に裏切りたかった誰かや、大きな瞳の真っ直ぐな視線を。不幸でいたいわけじゃない。わけじゃないのに、ハッピーエンドを見るたびに傷ついてそっぽを向く。試験をしているみたいで鬱陶しいな。君は、君はどうかお気になさらず。僕のことを知らない君が好きだった。君の世界を汚さないためなら、僕は、あの橋からだって飛べるんだと確信する。死にたいのじゃなく、いなくなりたい。君の生きる世界から。取り除きたい。君に見つかってしまうかもしれない恐怖。誰にも優しい君が、僕の苦しみのために生き甲斐を見つけて堕落していく、そう、君は優しいから、僕を見捨てることはできない、死にものぐるいと笑われてなお、僕が世界を捨てられなかったみたいに。太陽。眼鏡。黒点。星。星、それはただまっしろな星。包み込むのは暗くて黒い夜。光を光のまま光らせる、もの言わぬ絶大の沈黙、みたいな。服は脱がずに完成品で満足する、その演技は昔から得意だ。日々となんら違わない。花、まっしろな花。花。花。いつか僕を埋め尽くす、まっしろな花花花。

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