理想も夢もどうだっていい。今が未来になるから。ぼくの言葉は汎用化されきみは酸素のように取り入れるだろう。そうしていることにも気づかずに。本当に好きなものを好きだと意識できるひとは多くない。好きだ好きだと繰り返すのは、思い込むための儀式だった。ほんとうの気持ちを消そうとする虚しくて悲惨な努力だった。それは幼年者の殺戮だった。もしも困っている人がいたら手を差し伸べるんだろう。自分をそこに投影して。誰かに救いを求める勇気をたたえて。ほんのすこし。ほんの少しの違いだけなんだ。刻一刻と世界から消えていく、きみをきみは忘れないで。抱えきれないその時は、要らないぼくだけを忘れて。その時にはもう、きっと染み渡っているから。きみが眠りにつく時。眼を覚ます時。卵を割る時。歯を磨く時。踏み出す一歩。花畑に残る足跡。同じ道を辿るためじゃない。生きた証が、道なき道を進んだ気配を知らしめるため。