【問題文】
しずかな雨の夜、ヴァンプ邸の静寂を破ったのは、今年名門シュガービター学園に入学が決まったばかりの長男チェルシーの元気な足音だった。
「パパ!これ!拾ったの!ついさっき!そこでね!ほんとうにだよ!昨日から部屋で住まわせてたってわけじゃないんだ、だから、ねえ、飼ってもいけないってことはないでしょう?つまり、いいんだよってことをパパは僕に対して言いたいはずなんだ!」
「落ち着いて。正しい文法で話しなさい」
ヴァンプ氏は息子の悪癖には慣れていた。
「今ここで私がはっきりと反対を示したところでお前は空いている屋根裏部屋を使う。そうだろう?」
そして、ヴァンプ氏は慣れていた。
愛息チェルシーが一旦決意したら簡単には引き下がらないことにも。
そして自分がそれに対して何ら反対の意を唱えないだろうことも。
「そして、チェルシー。今晩の拾い物は一体何だい?」
ヴァンプ氏はようやく視線をそれへと向けた。
そしてすぐに眉をひそめる。
この反応は、寛容なヴァンプ氏には珍しいことだ。
少なくとも、チェルシーの行いに対してここ一週間は見られなかった仕草であることは間違いない。
「チェルシー。それは、人間じゃないか…しかも、生身の」
「そうだよ、パパ。僕が見つけたの。名前も付けたんだ。ザックに見せて来て良いよね?おいで、ヒュード!」
息子の後をついて行く人間の身長は自分とそう変わらない。
まあ、何かあってもチェルシーならば制御できるだろう。
ヴァンプ氏はそう思いなおし、視線をふたたび手元の盆栽へと落としたのだった。
【問い】
この後のストーリーの展開として以下の選択肢から妥当なものを選択せよ(複数回答可)
A 息子の生命を危険にさらす人間ヒュードと対峙するヴァンプ氏のバトルが楽しいアクション展開
B 自分も父ヴァンプ氏と同じくAIだと信じていたが生身の人間である母との間に生まれたハーフな存在だったと知り自分の生い立ちに悩みを抱えるチェルシー少年、そして彼に想いを寄せる上位AI少女とのふれあいを描いた青春ラブコメ展開
C 息子の教育係ザックのヴァンプ氏への恋心がヒュードの粋な計らいによって成就し「人間さいこう!」ってなるAIの未来が描かれたSF展開
D 盆栽が趣味であるAI界のドン、ヴァンプ氏が類稀なる素晴らしい表現力で盆栽の歴史に新たな1ページを刻み込むまでのヒューマン風ドラマ的展開プラス、ザックの報われない恋心が楽しくも切ない清純ラブストーリー
もっと書きたいけどバス降りるので、おわりっ。
【解答欄】