no.400

食欲をそそる、
ような暗闇に消えてった好敵手
ちゃんと命を狙うんじゃなかったの?
あれだけ豪語しといてさ

結露でぼやける光と舌舐めずり
どれが本物だっていいじゃない
偽物のいくつかをひっ捕まえれば
確率の問題にして運試し

引きずる片足の経緯は任せて
お話をつくることは僕にもできる
誰ひとり傷つけずに
ちいさな嘘をくるんじゃうんだ

誰も傷つけたくないの?
かんたんだよ
自分を傷つけさせるんだ
物語ってそういう需要があるんだ

きみのまだ知らない大人の世界ではね

かすり傷の理由を話してもらっていいかな
片っ端から消してあげる
暴かれなかった秘密をまとわせてあげよう
だって僕のものなんだもの

上手なことだけが正義にならないように
嫌われないことだけが評価基準にならないように

きみが殺されてしまったらもう、
僕の息の根を止められる子はこの世にいないんだよ。

だからこんなに切実な夜更け、
月は宇宙の心臓になんかなれない。