食欲をそそる、
ような暗闇に消えてった好敵手
ちゃんと命を狙うんじゃなかったの?
あれだけ豪語しといてさ
結露でぼやける光と舌舐めずり
どれが本物だっていいじゃない
偽物のいくつかをひっ捕まえれば
確率の問題にして運試し
引きずる片足の経緯は任せて
お話をつくることは僕にもできる
誰ひとり傷つけずに
ちいさな嘘をくるんじゃうんだ
誰も傷つけたくないの?
かんたんだよ
自分を傷つけさせるんだ
物語ってそういう需要があるんだ
きみのまだ知らない大人の世界ではね
かすり傷の理由を話してもらっていいかな
片っ端から消してあげる
暴かれなかった秘密をまとわせてあげよう
だって僕のものなんだもの
上手なことだけが正義にならないように
嫌われないことだけが評価基準にならないように
きみが殺されてしまったらもう、
僕の息の根を止められる子はこの世にいないんだよ。
だからこんなに切実な夜更け、
月は宇宙の心臓になんかなれない。