no.397

セラミックは光を鈍くさせて嘲笑は都合よく解釈された。

ぼくたちはお互いに間違っている可能性を残したままで初恋に至ろうとしていた。

目の見えない子猫が夜に飲み込まれていったよ。噂話は鳥の餌になって新芽は伸び盛りを迎えなかった。

将来役に立つと教えられた言語はでたらめな文法で、それでも悪戯を遂行するのに役立ってくれた。

大人が本当のことを話したがらないのは、責任を取りたくないからだ。それでいて傷ついて欲しくないんだ。でたらめだよね。だからって冷やかすものじゃない。きっといつか同じ目にあうんだから。

少年少女はいつまで蝶々結びのできないふりをしていられるんだろう。

仕組みを暴かれた結晶が密室で何遍も生成されている間、より多くを滅ぼすための新型兵器は大空を渡っていた。

目をつむれ。
耳をとざせ。

そして思いだけになったとき、瞼の裏に浮かんでくるものは祈りの一節かも知れないし聞こえてくるものは舌打ちかも知れない。

いちいち傷つくような脆さなら生きていたって誰かの居場所を奪うだけだ。優しい人を求めたって求められなければどこも埋まらないんだ。

かわいそうに、きみは、いい子。
なぜって、正解を知っている。
だけど、覚えておいて、いい子。
本当はきれいじゃなくてもいいんだよ。

あの子を試そうとして神様が落っことしたナイフを、素手で受け止められなくてもいいんだよ。

枯れてしまった新芽はまだ多くの種子が眠る土の肥やしとなる。

冷たい夜にあっけなく溶けた子猫は黒猫となってふたたびこの世に生まれてくる。

そしてきみの汚せなかった手はその丸い背中をそっと撫でることができる。

辻褄を合わせる余地はいくらだってあり、歪んだ口元でも幸福をささやけるということ。

そのことを疑わずに目覚める朝が、これから先も何度もあるということ。