no.389

いいや、全然違うよ
わかってる
相槌はお飾りだ
ぼくたちべつのこと考えてる
他人から見たらちゃんと
睦まじく映るのかなだとか
些細な誤差ほど気にかけて
ほんとうに知って
おかなきゃいけないこと
まるで関係ないみたいに
たばこをくわえてる
きみなんか要らない
意地の張り合い
耐えられないからだよ
要らない、
そう言ってなきゃあ
もしかしたら来るいつかの一瞬に
生い立ちを共にした罪は重い
お互い以外を寄せ付けない
圧倒的な依存性
それ無しに生きるとか
想像も難しいくらいだ
こんなところまで来て
こんなふりまでして
もう誰も追いかけていない
覚えてさえいないのに
逃避行のふり、
匿名のふり、
狙われているふり、
かけがえのないふり。
まだ続けるの?
そう、続けるの
ぼくらそんなに利巧じゃない
やり直せるほど信頼もしてない
ただときどき言葉より早く
溶け合って一人になりそう
そんな予感に飲み込まれるだけ
そんな妄想に取り付かれるだけ
(やがて打ち砕かれる)
句読点の打ち方だよ
違いなんてそんなもので
才能、ありえない
何にもなり損なって寄り添うだけ
舐め合える傷が見つかればそれでいい