no.387

愛と狂気を履き違えて今日も上機嫌。空から雪のような綿飴が降ってきてるし、目にうつるものが唾だって感想は「美しい」。勢いのない看板が鉄の腕に引きちぎられてその下を袴姿が闊歩する。年号のシャッフルと新旧疑似体験。僕らの過去は君たちの未来でもある。ここでは風が数値化されていて何度でも再現できるよ。希少性は失うかもしれないけどその代わりに公平を手にしたんだ。昨日の痣が刺青みたくひろがっているね。それほど大切にされた証だと言っても良いのさ。嘘も本当も誰もそれほど興味ないんだから。物語として面白いかどうか。それだけ。呆れるくらいに、それだけのこと。演出家でない君はきっと次の一手をためらう。でも、そんな必要ないのに。だって、もうつくっておいたんだ。僕があつらえてあげたんだ。気づかなかったでしょう。全身全霊の甘い世界で生きていけ。辛い悲しいと言い張ったって虚言癖持ちだと笑われるだけ。僕が仕掛けておいたよ、君が犯人になれない世界。退屈のため息さえ陳腐な、高度に感性化された、さがしても棘のない世界だよ。

さあ、何日間の滞在にしよう。