no.353

あなたが沈んだ
ぶどういろの沼
ぼくが飲み残した
ぶどういろの夕陽

神様を呼べば救われる
そんなままごと
まだ信じてるって
あなたを勇気づけたかった

見え透いた嘘で
あからさまな下心で
昔読んだ本の一節
いまも髪に絡まっている

退屈をまぎらわすこともない手癖
ぼくたちが逃げ出さなかった領域
目隠しをして黙っていれば
まためぐり合う日がくるのかな

奇跡はそのまま宝石箱へ
枯れない花の吸い上げる雫

ぼくは
好きなところなんてひとつもない
あなたの
好きじゃないところなんかいっこもない

またはじめていいですか
諦めないでいても
汚れた手で顔をふいて
別物みたいなおとぎばなしで