no.347

ありきたりな文字を肺に詰め、ありきたりな言葉を創作している。いつまでもとどまらないものを吐き出し続ける僕を、霧の向こうからいつかの僕が見ていた。その景色が今僕の中に形作られ、体験が思い出になる。そのせいですっぽり抜け落ちてしまったものもあるんだろうが、思い出せないなら哀しくはならない。機械的な反芻と目の前の現実。あなたを好きでよかったと言われたい。中身が何度入れ替わっても思いが帰る場所は変わらない。それを隠すために変化を続けてカムフラージュしているんだろう。望めば手に入った時代、何かに飽きることはなかった。誰かにとって都合のいい存在になることは、僕だけの秘密を持てるということ。軽視してはいけない。唇が水と空気を欲しがっている。誰もそれを持ち合わせていない。夢は今もどこかにある。訊ね方を間違えなければ、もう何も失うものはない。