no.346

朝が来て橙をひけらかす
乾いた涙の行方は頬も知らない

きみに、
きみに生きていて欲しくない。

白い鳩が目線の先を旋回する
繰り返しに怯えない魂は
逸脱するたびに蘇生させられる
命の貴重性は本当の理由にならない

冷めた目に映した世界で
きみの叫ぶ理由なんかほとんどないんだ
意味の作成と再生産
盗作されてレプリカが輝くだけ

半分ずつ引き上げられる音階
美しいなんて言わないで
ぼくには見えなかったもの
そのために生きようとしないで

陽は沈む
夜は分断される
道は続く
祈りはつながる

それだけを覚えていて
それ以上でぼくを満たさないで