あかりが一つあるだけの駅
フレアスカートのような光が
行くあてのないことを教える
他は一縷の道筋も見えない
暗い部分にあるものを
得ようと出かけた仲間の消息
残されたラジオが何も告げないのか
ぼくが壊したせいで何も届かないのか
ただの迷子ごっこだよ
いつか漫画で読んだことがある
これはぼくが選んだ展開
つまり望んだ状況
線路が震えている
音が次第に大きくなる
魔法のように現れて
ぼくは目がくらむ
フレアスカートの
外に隠したきみの遺体
その手からもぎりとった乗車券
何食わぬ顔をして車内へ踏み込む
きみの目が鈍く光っていた
置き去りにされること
知っていたんだ
分かっていたんだ
空いている席に腰かけて
しばらくすると涙が出た
じきに止まって乾き始めた
窓にぼくは映らない
どこまでも
いつまでも
だれとでも
なんどでも
きみに雪が降るだろう
柔らかく厚く積もって
やがて結晶になる
いつかのぼくみたいに