no.340

あかりが一つあるだけの駅
フレアスカートのような光が
行くあてのないことを教える
他は一縷の道筋も見えない

暗い部分にあるものを
得ようと出かけた仲間の消息
残されたラジオが何も告げないのか
ぼくが壊したせいで何も届かないのか

ただの迷子ごっこだよ
いつか漫画で読んだことがある
これはぼくが選んだ展開
つまり望んだ状況

線路が震えている
音が次第に大きくなる
魔法のように現れて
ぼくは目がくらむ

フレアスカートの
外に隠したきみの遺体
その手からもぎりとった乗車券
何食わぬ顔をして車内へ踏み込む

きみの目が鈍く光っていた
置き去りにされること
知っていたんだ
分かっていたんだ

空いている席に腰かけて
しばらくすると涙が出た
じきに止まって乾き始めた
窓にぼくは映らない

どこまでも
いつまでも
だれとでも
なんどでも

きみに雪が降るだろう
柔らかく厚く積もって
やがて結晶になる
いつかのぼくみたいに