no.328

きみのあいしてるはいつだって
永遠のさよならにきこえた
これきりだっていうずるさがあって

まるで引き裂かれるみたいだね
本当は離れていくくせに
わがままを演じて記憶に残ればいいのかな
聞き分け良く応じたほうがよかったかな

そんなことないよ
ありがとう
これからもずっと
ずっとずっと一緒だね

ありえないから頷けた
好きだから喧嘩もできた
ひとりでいる時間
きみのことを考えてどんどん陳腐になる

満月が音を立てて溶け出す
おそろしい夜だ
あの雲の向こうに誰かがいて
それは基準のない悲劇をさがしてる

逃げて!
(どこからどこへ?)
つかまらないで!
(だれがだれに?)

金木犀の香りをたどったなら
出口がみつかるなんて保証はない
だけどそう信じて走り続けていれば
少なくとも手は離さないでいられる

愛情はいつも何かと引き換えで
だからこれは代償で
かなわなかった大切なひとを犠牲にして
何百粒という涙が朝焼けを薄めていく

さあ
もう一度目隠しの世界だ
邪魔が入ることはない
ぼくたちは名前を預けた

すっかり馴染んだ背中合わせの状態から
約束さえせずばらばらに歩き出す
途方もない賭けになったとしても
奇跡を信じるよりかは随分と正気だ