ぼくたちは互いの殺意を見せ合った
だからって変わる出来事はなかった
手を繋いだって体温まで移せないのと同じで
あの灯台はもう光らないね
掠れた声が感情もなく告げる
その横顔を盗み見る勇気はまだない
およそこの世に生きており
一度も愛する人を刺してみたいと
思わないやつなんているんだろうか
読めないラベルのマッチを擦る
そして後悔する
こんなにかなしい旅を始めてしまったことを
会うもの会うものこじれていた
大きな絶望を覚えた
だからといって飛び降りるまではなかった
強欲な風はすべてを持っていこうとする
今は遠くなってしまった誰かのマフラー
首元に結び直して弱い熱を集める
手品師のトランプのように
繰り返しシャッフルされても
限られた枚数だから必ず巡る
使わなかった切符
使えなかった切符
星を砕く時きっとあんな音がする
差し出せるものがないぼくたち
顔を覆う包帯をはずしていった
それは致命的とも言える譲歩だった
だってもう怖くないんだ
きみを信頼することの代償が
失うことでしか満たされないなら
奇跡に背を向けたつもりで
まだ許されたがっている、その役目を
きみに預けてみたいだけ
ぼくに委ねてほしいだけ