はやくはやくって
にじんだ橙がぼくを呼ぶ
だけどわからないから
ずっと立ち止まっている
景色が変わっているのか
ぼくが歩き出したのか
どっちでもいいけど
答え合わせがしたくて足元を見た
黒い目がぼくを見る
踏みにじったかつての自分
恨めしそうだ
だけどまぶしそうだ
ぼくもそうだった
きっとそんな目をして
きみのことを見ていた
疎ましくて羨ましくて
どうしてその容れ物に
入るのがぼくじゃなかったか
ぼくだったら大切にするのに
ぼくだったら絶対に捨てないのに
きみの不満と
ぼくの羨望
きみの欠乏と
ぼくの飽和
どこまでも平行線
交じり合うことはルール違反
いつかまた出会いたいね
どれほど素晴らしいかを教えてあげたい
ぼくのために生きてって言えばよかった
それがきみの不本意だとしても
屋上であんなこと言わなければよかった
百の手紙を出したってもういいわけはできないのに