ルートを辿ろうとした
ぼくは生きてきたんだろうか
それとも産まれてもいないのか
であれば死ぬこともないのだろうか
どこまで行っても無垢のまま
繰り返されるばかりだからだ
遡っても判らないのは
子どもが子どもを追いかけるから
まあるい喉仏が伝えるには
人間は敵ではない
味方ではないのと等しく
ぼくたちは接触をしないので
割れそうな静寂
ひたひたと沁みてくる
雨水が新しい命ならいいのに
千切れてもぼくは透明であればいいのに
言ってもいいんだ
虹も星も美しくないと
きみが本当に自由の身であって
そう感じているのなら
何が欲しくて
何を嘘にする?
何が要らなくて
何を本当にしたい?
森がふたりを受け容れたのは
追っ手から逃がすためではないよ
ぼくらがいずれ力尽きて
次の生き物につながるからだ