no.231

僕が育てていた花を摘んで一輪ずつ窓辺に飾ること。それは良い香りをさせるだけで何も語らない。そのことが君を饒舌にする。聞き役のいない密室で反響した言葉はガラス玉になって一瞬で砕け散る。それを拾い集めて新しく台詞にする生き物はない、ただ、砕け散る。君は言う。あなたは何のために殺されたのだ?生きていかなければならなかったのに。花は重力に耐えかねてこうべを垂れる。逃げ出すように。反芻する。共鳴するもののない場所で。あなたは、何のために、殺されたのだ?時に大袈裟に。時に慎ましく。時に派手に。あなたは、何のために?必ず最後には同じ解にたどり着いて崩折れる。その時までずっと。もう枯れるものはない。もう責めるものもない。事実だけが逃げ出しもせず無愛想に横たわっている。君の手で殺されれば誰も苦しまなかったのか。考えることには意味がない。あるとすれば時間潰し。そう、これが君の夜の乗り越え方のすべて。ひとつも間違っちゃないと思うよ。

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