no.199

一瞬でも影を見せたものを
知らないふりできない
飛び起きて明かりをつけて
震えながらつなぎとめる

僕は一つの体でしかなくて
魂なんかどこにもないから

いっしょに溺れることはもうできない
だけど僕が僕から剥がしとった言葉に
たとえばきみが捕まることができたなら
そこから浮上が可能なのかもしれない

だからこの鱗はそのままきみの体
影が深く沈み去るのを眺めたりできない
そのたびに命が強張って息を忘れる
それをキャッチしないことで
永遠に失われる機会に

それすらも誰からも知られることはない
僕のすることはたいしたことではない

いつ見てもアウェイのきみが
少しずつ言葉を漏らしながら
確実に空気を身につけていく

平気な顔は寂しいよ
溺れることは望まなかったくせに

ほら、もう身動きが取れない

落下する鱗に夕陽があたって歌がほつれる
近づいた顔がまた遠ざかって光が千切れる

ほら、もう何もかも沈んでいった