No.842

思い出してから始めるなんて不純だよ。きみが唇を尖らせる。もっと他のことをしたら良いのに。忘れてたのなら。本当にはそれを望んでいないのなら。

誰かを攻撃したいんだな。攻撃された?そして、傷ついたんだ。図星だったんだ。そうだろう、正解は人を苦しめる。さっききみがぼくを苦しめたのと同じくらいに。

強くないのに、なぜ生きようとするの。ちっとも強くないのに。

きみの問いは問いから懇願に変わっていく。最初からそうだったかな。なぜなんて、考えたこともない。生きている実感が一日も無かった。少しだけ生命力の残ったおばけみたいに世の中を渡っていた。

まばたき。そう、瞬きなんだ。星が一瞬だけ光る。蝶々が羽を休める。次の瞬間にはもう、そう、別のことを考えるだろう。それと変わらない。意味を考えることも、生きることも。

むずかしいことではなんだ。

納得は、いってないだろうな。どんな言葉をかけたって納得しないのだから。言葉の役目は終わったようだ。きみは問答を放棄し、ぼくの背中に健やかに眠る。