No.839

こつこつと積み上げてじょじょに愛されているひとを見ると怖くなってしまう。ぼくではないんだ。まさか、ぼくではないんだ。生まれてからずっとそうなりたいなと思っている存在がぼくではない。という事実。

光はここにあるんだと教えてもらっても実感はわかなかった。教えてもらったからだろうか。自分で見つけないといけなかったんだろうか。ぼくの思考は窮屈で、ときどき独特。光の定義をし損ねて。

メロンクリームソーダの緑と、狭い場所に沈んだ真っ赤なチェリー。どちらかが毒だとしたらどちらだろう?どちらも毒だとしたら強いのはどちらだろう?ストローはなぜ耐えうるのだろう。舌はなぜ耐えうるのだろう。呑み下した食道は、胃は。そう、妄想だからだ。

同じように紡いでも、救えるひとと救えないひとがいる。すくい上げてくれる人とそうでない人がいる。炎天下、あと何年も生きていくかも知れない予感、もたつく肉体、マスクの下の舌打ちは誰へも届かない。

誰かにはとどいてほしい。とどいたよと教えてほしい。せめて合図がほしい。あの星が光って見えるのは、何億光年も昔にあれが一瞬光ったからでしょう。ぼくは待っている。忘れたころにふっと、自分が願ったことを思い出すのを待っている。

目の端に覚えのない青い光をとらえ、それを切望している人を笑っている。