いつか、どれかは最後になるんだ。球体のダイス、クリスタルのルーレット、絵の無いカード、掴めないダーツ。弾き出された確率は夕日が沈んでもゼロにならない。ほぼ確定の事実。こめかみにあてた銃口。躊躇い傷の指先。それでいいか?今でいいか?加工された声が問いかけてくる。かき混ぜられて最初の答えを忘れてしまう。ヴァージンは間違いを知らなかったのに。どうか、どうか誰か決めておくれよ。おいおい、そんな、ご冗談。毎日本気を出すなんて所詮無理に決まってるけれどせめてやる気がないときは寝て回復を待つんだった。後悔も恐怖も見せたくなくて深い森に暗号を隠しに出かけなきゃ。致命傷の罠をくぐり抜けて。あたりまえでいることの手枷足枷を求めて。比較では得られないことばかり。だから誰とも支え合いたくない。探り合いに変わるから。臆病で良い。深みのないままで良い。冷たいことを悟られたくないために棒にふるなんてそれこそ順序の矛盾。まだ残っていれば。仕方なく。思った通りの惨劇が始まろうとしている。緞帳がするすると動き出す。ゆったりと怪しげな音楽。目隠しされた子どもたち。いろんな時代の僕たちだ。好きなものだけ食べて生きていけると信じていた、少なくとも疑いはしなかった、もうどこにもいない、だけど記憶から抹消のできない、厄介で愛おしい僕たち。