No.825

詩のない僕がこんなに臆病だったとは。一人称を戻さないうちは溶け合うことなんてできない。うざったい首輪だなと外したものは、命綱だったとあとから気づく。街と夕焼けを逆さまに滑ってく。手に入れたかったもの、手に入らなかったもの、手放したもの、いまここにすべて抱きしめ、いつかの空へのぼってく。いつかの僕にかえっていく。