No.794

カレンダーの日付をもう塗りつぶさなくて良いんだよ
ぼくは語りかける
ひとりごとより少しだけはっきりと
自信がないんだ、伝えられる自信が
きみが落とした視線を上げる時ぼくの胸に太陽が昇る
それは光と熱と命をもたらす
あたたかいものは生きている命
きみはそれをまだ知らないと言う
ぼくを前にして知らないと言い
もはや冷たくもないぼくの手がきみの頬をすり抜ける
あの日が最後だと分かっていたならぼくは
きみの幸せを願ったりしていないのに
月が訪れて離れ離れのふたりは
つながることのない世に淡い夜を夢見ている