No.789

笑えるようになった
きみを軽蔑しない
どれだけ上手でも
月の綺麗な夜だった

片足のピエロが
ブランコ乗りだった頃の話をする
みんなが私を見ていたんだ
遠くの星や羽ばたく鳥を見るように

それで体が持ち上がって
今でも浮いてる気持ちになるんだ
同情を寄せてくれる人もあるが
正直私は幸福なままだよ生憎ね

差し出した本を
私に必要なものではないと返された
誰にも必要ないものだと思え
ライターで火をつけた

焚き火を眺めていたらきみが来て
ぼくのとなりへ腰かける
きっと顔を見られたくないんだろう
でも気になって盗み見てしまう

きみは泣いていた
傷つくことを期待していたのに
どうしてこんなに悲しいのだろう
ぼくは自分がわからなくなる

昇る太陽
開幕のカウントダウン
ぼくたちは目覚める
終わりを殺しながら

始まりに飲み込まれる
言葉は無力だった、でも
無力なものを行使しようとするとき
ぼくたちはもっとも分かり合えてた