No.785

星が線で結ばれる前に
ぼくたちひとつだったことがある
あなたは忘れたろうね
ぼくには短い時間なんだ

模倣された幸福が
向かいのアパートの窓に映り
まだそれを欲しがらないのかと
博愛主義に糾弾される

愛を欲しがらない
ただそれだけで
人はこんなにも異質に扱う
かつておんなじ土だったのに

茎が伸びて蕾をつけて
花が実となり種を落とす
過程で、その過程で
誰もが忘れてしまったんだ

見なければ良かった
あなたの涙なんかを
オレンジが溶けた
つかめない永遠ばかりの

もし涙がこぼれなければそれは
ぼくたちの暮らす灯になったのにね
死を前にときどきはにかむ
ぼくたちまるで人間のようだね