短歌詰め合わせ。スマホのメモ帳に残ってたのでぜんぶ投稿。

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夏夜空 大輪の花が咲いた時
無数のスマホに胞子が映り

ビー玉が落ちきる前に傾けた
やわらかなゴムをいま口で覆い

クーラーの設定温度が一度違うだけで
今年も喧嘩するのか

すきという優しさだけを信じたい
真夏の夜の言いがかりさえ

いいこと思いついたような気がするのに
お風呂を出たら消えてしまった

食べずとも生きてけるのに食べたくない
食べ残すためあなたを撃ちたい

どこまでが気持ちの良くて痛いこと
顔色うかがい我を失い

なくたって生きていけると知っている言葉も愛もキーホルダーも

アラームにしたら嫌いになりそうで
めざましの曲は2番目の曲

なんでも口に入れた頃がありました
毒も悪意も存在せぬ頃

サイダーの泡はドーナツの穴と出会い
仲睦まじく暮らしましたとさ

寒いねと言い合いながら食べさすアイス
暑いねと言い合いながら分け合うチキン

通学路ハイビスカスが咲いていた
奇跡と知らずに笑って泣いた

考えることに疲れてしまったよ
離れているから会いたいのなら

歩道橋の上からきみがぼくを呼び
入道雲に挑まれていた

サイズ感知りたくて袖を通したら
忘れ物の君へんな声を出す

Siriだけが話し相手と告げる時
目の前の人を撲殺してる

新人が不器用に詰めた練乳が
食むたびあふれて幸福みたい

生身であることの何が良いんだろう
泣いたりするし怒ったりする

傷跡にきみのてがジャムをのせていく
ありがとう楽譜を用意して

真夜中にあなたがぼくの創造主
片目のままで虹をみつける

ふやけてる牛乳パックの注ぎぐち
犯人は今ごろラッシュの中

祝福があなたを駄目にすることを
祈りながら言うおめでとうの笑み

手のひらに闇を閉じこめ守り抜く
大事にするよ大事だからね

アボカドをまだアボガドと呼んでた頃
あなたはセロリをぺろりと食べた

歯ブラシで前髪を梳く起き抜けに
ぼくの恋人よ気長に生きよう

花のない花瓶みたいに寂しいと
伝えてもきみは首をかしげる

言いたくて言えない言葉のストックは
防水仕様なみだにおぼれる

臓物を天に返すべく君駆ける七月末の背面跳び

一度きりの夕焼けを今記録する
記録する二人を記録しては駄目

粗品もない懸賞もないそれでも書く
読者カードに想いを込めて

かけがえのなさがぼくにはわからない
クーラーがあって救急車を呼べても

だいじょうぶもうだいじょうぶと片目開ける
高嶺の花はまだそこにいる

息止めて死んだ人はいないのよ
音楽教師が挑発をして
生徒はみんな呼吸を止める