No.757

恐怖で目覚めた朝に
塩と砂糖を間違えた報告
え、何だって?
きみはずいぶん呑気だな

自転車にカマキリ
払い落とせずバス停まで漕がずに歩く
子どもの手を引く会社員が
車道側を歩いていた

英会話教室の張り紙に
無料の文字と向日葵のイラスト
道行く人に笑いかける自販機
無視されてもひんやり冷たい

恐怖はこの先も
たぶん消えない
嫌な思い出もたぶん
死ぬまで消えない

上回るだけの
せめて同じ量の
優しい毎日にしていこうね
信じたくない綺麗事

そっぽを向きたがるぼくを
なだめるのはきみのほうが得意
きみはごちそう
魂から欠けたものを与えてくれる

ゼロからイチにもなれないでいる
コンマ以前のぼくを解いてくれ
生き物なんかどうでもいい太陽も
ぼくからきみを奪っていかないから