すみれ色したお菓子を食べて
嫌ってほど正解に惑わされる
頭のどこかが叫んでいて
心のどこかが軋んでいた
いま立ち上がったらどうなるだろう
教師の声を遮って告白したなら
黒板に書かれた丁寧な文字より
きみの記憶にちゃんと残るだろうか
手放しで欄干を歩く
その勇気さえないのにスマホの中は
死にたいでいっぱい
宛先が無いならもういいか
敷かれたレールの何が悪い
誰もぼくを一人にしてくれない
まるで望んだみたいに
太陽だけ見て眠りたいのに
後先を考える悪賢さに
打ち勝つものは無謀な衝動
繰り返した妄想より鮮やかに
ぼくは学校を駆け抜けた
もしかしたらここまでが夢なのかも
もしかしたらもう生きてないのかも
駅のホームで踏みとどまったりしなくて
屋上の扉に鍵なんかかかってなくて
どうする?
そうだとしたらどうする?
椅子を蹴った時にロープが切れなくて
服用した薬の半分も吐き出せないで
浴槽に垂れ流す赤にハッとしないで
今見るすべてが直前の妄想だとしたら?
この困惑がすでに矛盾だ
一途に失望すべきなのに
良かったと思ってしまったばかりか
口に出してさえいたんだ
恐る恐る振り返った先で
きみは泣き笑いしていて
言葉を失ったぼくは
握った手をもう一度つよく握り直した。