No.741

すみれ色したお菓子を食べて
嫌ってほど正解に惑わされる
頭のどこかが叫んでいて
心のどこかが軋んでいた

いま立ち上がったらどうなるだろう
教師の声を遮って告白したなら
黒板に書かれた丁寧な文字より
きみの記憶にちゃんと残るだろうか

手放しで欄干を歩く
その勇気さえないのにスマホの中は
死にたいでいっぱい
宛先が無いならもういいか

敷かれたレールの何が悪い
誰もぼくを一人にしてくれない
まるで望んだみたいに
太陽だけ見て眠りたいのに

後先を考える悪賢さに
打ち勝つものは無謀な衝動
繰り返した妄想より鮮やかに
ぼくは学校を駆け抜けた

もしかしたらここまでが夢なのかも
もしかしたらもう生きてないのかも

駅のホームで踏みとどまったりしなくて
屋上の扉に鍵なんかかかってなくて

どうする?
そうだとしたらどうする?

椅子を蹴った時にロープが切れなくて
服用した薬の半分も吐き出せないで
浴槽に垂れ流す赤にハッとしないで
今見るすべてが直前の妄想だとしたら?

この困惑がすでに矛盾だ
一途に失望すべきなのに
良かったと思ってしまったばかりか
口に出してさえいたんだ

恐る恐る振り返った先で
きみは泣き笑いしていて
言葉を失ったぼくは
握った手をもう一度つよく握り直した。