no.134

手段を選ばないくらい強くなりたい。そう思うけど手が汚れたらちゃんと眠れない。もしもインソムニアが形あるぬいぐるみだったら、僕を眠らせてくれなくてもしっかり抱いて夜を過ごすのに。原因は他のところにあるって、どうしてそれを認めないんだって、答えは簡単に出せたはず。原因を突き止めない間は、何も改善しないあいだは、きみは僕から目が離せないだろう。まるで自分ばかり正しいみたいに話すね。せっせと繕ってくれて、かわいいひとだな。僕の所作の中でとりわけ食事の作法には眉をひそめるね。戒めにもならない。目の前に並んだ食材すべてに名前をつけるんだ。それから切って口に運ぶ。たまには砕いて、潰して、刻んで、捻って。だから時間がかかるんだ。利き手の握力、よく切れるナイフと刺し易いフォークだって欠かせない。水槽越しの光が銀色を跳ね返す。壁一面の聖書。魚にはわからない言葉。どちらが狂ってるか。決まってる。そんな質問をしてくるやつのほうさ。

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