No.704

六角形のコップに光を集める
屈折させたり鏡の反射を楽しんでいる
幸せなことがこうやって
増えていったらいいのにね

なんの不安もないのに
もったいなくて泣けてきたり
なくなっちゃうかもって
奪いあったり

そんなことしなくたって
無限に無限に広がるといいのに
だけどぼくたちは知っていた
本当に無限なら欲しくならないこと

こぼしたグラニュー糖が
テーブルクロスの目に詰まる
暗号を隠すみたいに
指先でもっと奥へと押し込んだ

もしも神さまが見ていて
すべてリセットされたとするよ
グラニュー糖は見落とすんじゃないかな
ここまでは見ていないんじゃないかな

よほどおかしなことを言った
あなたが笑ってコップを落としてしまう
これが魔法だったら
これが魔法だったら

割れたコップは割れる前に戻る
散らばった光は透明に戻る
あなたは実態としてそばにある
ぼくがへたくそな幻をつくらなくても