No.691

みんなで明日を聴いていた
野良猫たちが集まって
にんげんの男の子がひとり
ねこへ戻れなくなってしまったんだ

なぜか?
ひとがひとりが減ったからだ
野良猫は補充要員だった
この世ではあまり知られていないが

反対車線で
水中で
通りすがりに
ザラザラのロープで

ひとが減るたびにいっぴき
野良猫が消えていく
ごめんねみんな
ぼくおまえたちを忘れてっちゃう

野良猫たちは返事する
なーうなうなうなーう
忘れなくちゃうそだよ
それでだいじょうぶだよ

二本足で駆けていく
男の子は振り返らずに
月のような瞳で
蕾のようなほっぺで