No.687

気づかないふりをしてきた
前のめりの体をつなぎとめたもの
あと一歩を踏み出したら続かなかった
衝動をやり過ごさせたもの

今には今の風が吹く
咲かなかった花で冠を編もう
誰もきみにささげなったもの
きみが誰からも欲しがらなかったもの

時々とてももどかしい
時々とても幸せになる
誰もきみに懐かないでいて
きみが誰にも懐かないでいてくれること

お互いにわかっていたね
ぼくらまちがってる
口に出して確かめる必要もないくらい
ぼくら鮮やかにまちがえてきた

つないだ手が血で濡れていた
きみは無言で語りかける
貝殻をのぞいてた頃と同じ目で
諾否はぼくに委ねられた、

夜に立ち向かうサーチライト
すべてを照らせていると思っている
だからあんなに屈託無く明るいんだ
ぼくらは越えずにくぐることを選んだ