限りないものがぼくを無言で責めてくる。いつか終わってしまうことを。こんなにも脆くできていることを。沈黙の中でも波音は鳴り止まず、敷かれたレールをうまく歩けない。歩幅は人それぞれだからだ。目をそむけたい、でも捨てたくない。幼い夢はすぐには消えない。すこしずつ、腐りながら、見たこともない何かへ形を変えていく。いずれ生まれ変わると信じることができないひとからおとなになっていった。老いることのないこどもを笑っていた。なりたくない、端正なおとなに奪われないようぼくが、砂浜に埋めた美しい詩が、潮とともに引いていく。血や骨や記憶の詰まったからだは浮遊できるほど軽くなく、そらんじた言葉の分解を見届けることができない。いっしょに連れていってとは言わない、ただおしえないで、乞われたとしても何も教えないで。知ってしまったら最後、その名を呼んで目覚めてしまうから、だから名前を教えないで、そうすればぼくは貝殻を耳元において、この世の誰よりも深く眠れるんだから。