ガラスの廊下を歩いてる
透き通っているのに何も見えない
鳥が鳴いているのが聞こえる
産まれなかった赤ん坊かも
ぼくは自分を疑うことで
世界と和解をしようとした
でもその世界もぼくの創作で
ぼく以外なんてどこにもいない
張り出し窓で立ち止まる
目を凝らせば海が見えるよう
星の散る夜空が見えるよう
錯覚にしか描けない正常を求めて
交信のやり方が分からない
探そうともしない
ぼくはたぶん変化してる
比較する何もない
立ち止まった拍子に目の縁からこぼれるもの
産まれた時にこの体をまとっていた血の雫
汚れた手を浸した雪解け水
不完全でも物怖じせず歩き出せたあの頃
少しでもあたかかい思い出があって
救ってくれる気がして集めてた頃があって
今はそれが締め付けている
首筋や手首を締め付けている
戻れないなら記憶なんて要らない
捨てる自由はあったけどできなかった
なくしたふりした涙があふれて
初めて突き当たりにたどり着いた
再生は繰り返される
突き当たりに来ないと思い出せないんだ
でも今日は少し特別だから
突き当たりの先へ行ってみようかな
高いビルの屋上かも知れない
線路にかかった橋かも知れない
そんなの空想に過ぎなかった
覚醒したぼくを見て、あなたが甘く苦笑している