No.614

君に
幸せをもたらさないんなら
青春なんて飛び越えていいよ
一度も笑わず無関心でいいよ

北のほうへ伸びていく鴇色
白があるからあんなに淡い
混じりけがないのではない
たまたま白が降っただけ

剥ぎ取られませんよう
君を匿う夜が
正体を明かすことができない
それでも二人でしかいられない二人が

滑稽なほど脆くて
かなしいほど愛おしい
ある日突然かき消されても
誰を泣かせることもない

些末で
矮小で
生きてたって退屈かい
死んだらもっと退屈だよ

だから嘘なの
わがままなの
生きるより他にない
これは、そんな命の戯言なの。