No.606

あたらしい朝
あたらしい肌
あたらしい水
あたらしい卵

新鮮なものが恐怖を連れてくる
足りない方へあげてください
ぼくは未来に期待しない
今から始まる一時間にだって

宇宙、は
やさしいんです。
何にも縛られないあの子が言うので
信じてしまった

冗談、と
最初はそう言いました。
みんなが笑っていてあの子は
何にも関与していなかったので

だけどある日知ってしまった
あの子が本当を言っていたのを
衝撃というよりも納得で
もう知らなかった頃には戻れない

ぼくはいま白い箱の中にいます
本当に白かどうかは分からないけれど
少なくともそう見える
きっと誰にとってもそうでしょう

白に見えているこの色を
白じゃないと言っても差し支えない
それぞれが白だと思う色が白で
影響を及ぼすことはない

あの子なんていなくて
見たものすべてまぼろしで
ぼくは他と少し違って
なのでいま辺り一面白くあります

あたらしい夜
あたらしい熱
あたらしい星
あたらしい終わり。

愛は凶器
認めてください
あなたは優しい
いいえ、やさしかった。